上越市が民営化を検討してきたくわどり湯ったり村。市は公共施設の適正配置を進めている=上越市皆口
上越市が民営化を検討してきたくわどり湯ったり村。市は公共施設の適正配置を進めている=上越市皆口

 「平成の大合併」で全国最多の14市町村が一つになり、新潟県で新上越市が誕生してから1月1日で20年を迎えた。都市と農村が共存し、海岸部から山間地まで広大な市域を誇る上越市は地域色豊かなまちづくりを目指してきた一方、人口減少や行財政改革などに直面。20年の来し方は、持続可能な自治体運営に向けた試行錯誤の連続といえる。合併が目指したものとは-。(6回続きの3)

 周辺13町村を編入し、マンモス合併をした上越市。旧市は人口13万人超だったのが、13町村が加わったことで新市は21万人に増え、面積は東京23区の1・5倍に拡大した。町村の職員も市の職員となり、人員は膨らんだ。

 合併時の正規職員は2390人だった。市は財政運営が厳しくなると予想し、職員数を見直すための「定員適正化計画」を2006年に策定。毎年、退職者数より採用数を少なくして緩やかにスリム化を進め、22年度には1775人となり、合併時から約26%減らした。これにより人件費は約41億円圧縮された。笹川正智・総務部長は「合併のスケールメリットを生かした効率化が進んだ」と説明する。

 現在は、人口減少や激甚化する災害、デジタル化など多様化する課題に対応するために限られた人員を割り振る「適正配置」にシフトしている。

▽行政スリム化で実質公債費比率大幅改善

 市町村合併を進めることで、首長や議員、行政職員の数を減らすことができる。当時の木浦正幸市長は...

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