農家民宿を営む髙木桂さん。越後田舎体験事業で宿泊者を受け入れている=上越市清里区
農家民宿を営む髙木桂さん。越後田舎体験事業で宿泊者を受け入れている=上越市清里区

 「平成の大合併」で全国最多の14市町村が一つになり、新潟県で新上越市が誕生してから1月1日で20年を迎えた。都市と農村が共存し、海岸部から山間地まで広大な市域を誇る上越市は地域色豊かなまちづくりを目指してきた一方、人口減少や行財政改革などに直面。20年の来し方は、持続可能な自治体運営に向けた試行錯誤の連続といえる。合併が目指したものとは-。(6回続きの6)

 毎年夏になると、上越市の山あいは「越後田舎体験事業」で訪れた子どもたちの笑い声で活気づく。「私たちにとってなんてことのない風景を写真に収め、とても喜んでくれる」。2023年12月、清里区に農家民宿をオープンした元地域おこし協力隊員、髙木桂さん(42)は語る。

 開業時、近隣住民に「本当に客が来るのか」と心配された。「ここの当たり前の生活を見せるだけで都会の人に楽しんでもらえるはず」という髙木さんの思いは受け入れを始めて確信に変わった。

 越後田舎体験事業は旧東頸城郡6町村が農業体験やホームステイを一体的にPRする狙いで1999年に本格始動した官民一体の取り組みだ。民家に泊まりながら野菜の収穫や郷土料理、星空観察など地域の暮らしや魅力に触れる体験を提供する。小中学生の宿泊型校外学習が中心で、20年以上のリピーター校を抱える一方、近年は海外からの問い合わせも増えている。

▽合併で山も海も!多彩な体験提供可能に

 四半世紀続く越後田舎体験事業の累計参加者は、...

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