
「中高生の居場所づくり」などについて話し合った高田区地域協議会の会議=2024年12月、上越市本城町
「平成の大合併」で全国最多の14市町村が一つになり、新潟県で新上越市が誕生してから1月1日で20年を迎えた。都市と農村が共存し、海岸部から山間地まで広大な市域を誇る上越市は地域色豊かなまちづくりを目指してきた一方、人口減少や行財政改革などに直面。20年の来し方は、持続可能な自治体運営に向けた試行錯誤の連続といえる。合併が目指したものとは-。(6回続きの4)
中高生の居場所づくりをどうするか-。上越市本城町の高田城址(じょうし)公園オーレンプラザで2024年12月中旬、高田区地域協議会の委員約20人が集まり議論をしていた。まちなかに自習などをする場所がないという問題意識から出た議題だ。
「他校の生徒と交流できる場づくりもいい」「『大人も自分たちのことを考えてくれている』と子どもに思ってもらえる取り組みだ」。肯定的な意見が相次ぎ、地域の諸課題を話し合う「自主的審議事項」として設定することが決まった。
地域のことを地域で決める「地域自治」の理念に基づいた地域協は2005年、新上越市の発足に伴い設置された。当初は合併した旧13町村に設置されたが、09年には旧上越市域を15の地域自治区に分ける形で新たに増設された。
自主的審議を進め、市に意見書を提出するほか、公共施設の設置や廃止など市長の諮問に対する答申を行う。選任方法は応募者が定数を超えた場合に公職選挙法に準じた選任投票を行う「公募公選制」を採用。画期的な取り組みとして全国的に注目を集めた。
▽女性、若手の応募少なく、充足率は6割…
設置から20年。委員のなり手不足が顕著になり、地域協は曲がり角にある。...
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