旧茂木派の正式解散を報じた1月23日の新潟日報紙面
旧茂木派の正式解散を報じた1月23日の新潟日報紙面

 新聞の政治面に小さな記事が載った。

 「旧茂木派が正式解散」

 旧茂木派の正式名称は平成研究会。派閥の源流は田中角栄元首相が結成した旧田中派(木曜クラブ)。発足は1972年7月。それから数えて半世紀を超える名門派閥の歴史に幕が下ろされた。

 その歴史を紐(ひも)解けば激しい派内抗争の繰り返しだったことが浮かび上がる。田中氏の下に集結した豊富な人材が逆に主導権争いを誘発したと言ってもよかった。中でも竹下登氏が田中氏に反旗を翻した「創政会」の旗揚げはそれを象徴した。中核となった小沢一郎、羽田孜、梶山静六の各氏はいずれも田中幹事長時代に初当選した面々。85年2月の創政会発足直後に田中氏は無念の胸の内を明かした。

 「切っても切れない奴(やつ)らを括(くく)られた」

 これに対して当時の中曽根康弘首相は...

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