経済産業省資源エネルギー庁が東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。に理解を求める目的で新潟県内28自治体を巡る異例の説明会が進んでいる。原発を推進する立場のエネ庁は、電力の安定供給と脱炭素の両立などを挙げて再稼働の必要性を強調するが、県内の各会場では、万が一、原発で事故が起きた場合の避難に不安を訴える意見が目立っている。

 「避難は不可能だ」。2024年12月15日に開かれた長岡市会場の説明会では、2004年の中越地震の際に長岡市山古志地域など各地で道路が寸断されたことを踏まえ、こう訴える声が上がった。

 これまでに行われた会場の中では、特に、柏崎刈羽原発から半径5〜30キロ圏の「避難準備区域」(UPZ原発などで事故が発生した場合に防護措置を行う区域の一つ。原発からおおむね5~30キロ圏は緊急防護措置を準備する区域=Urgent Protective action planning Zone=とされる。放射性物質が放出される前に屋内退避を始め、線量が一定程度まで高くなったら避難などをする区域。5キロ圏はPAZ=予防的防護措置を準備する区域=という。柏崎刈羽原発の場合、柏崎市の一部(即時避難区域を除く全ての地区)、長岡市の大半、小千谷市の全域、十日町市の一部、見附市の全域、燕市の一部、上越市の一部、出雲崎町の全域が当たる。)に当たる市町村で避難への不安の声が目立つ。

 UPZでは、原発で事故が起きた場合はすぐに避難はせず、屋内退避をするのが原則だ。しかし、2024年1月の能登半島地震で家屋の倒壊が相次いだこともあり、「自宅にとどまることが本当に安全なのか」(燕市会場の女性)と疑問を投げかける意見が相次いだ。

 豪雪時の懸念を訴える意見も多い。中越地域では、高速道などで車の大規模な立ち往生も過去に発生しており、小千谷市会場では「(避難計画は)絵に描いた餅だ」と訴える参加者もいた。

柏崎市の市街地側から臨む柏崎刈羽原発

 原発事故時の避難対策は...

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