地元で水揚げされたタラをふんだんに使ったたら汁(左)と真子の煮付け
地元で水揚げされたタラをふんだんに使ったたら汁(左)と真子の煮付け

 海も空も荒れ模様が続く新潟の冬は、寒さも長く続き、家にこもりがちです。そんな時、佐渡の郷土食を作ってみるのはいかがでしょうか。島の恵みと先人の知恵が詰まったレシピを紹介します。

※ページ下部にレシピあります。

 佐渡の冬を代表する海の幸の一つ、マダラ。脂が乗ったぷりぷりの身も魚卵も「たら汁」にすればたっぷり味わえ、身も心も温まる。古くから漁師の家で食べ続けられており、地域、家庭ごとにそれぞれの味がある。マダラが水揚げされている、岩首集落を訪ねた。

 「スケト」の呼び方で知られるスケソウダラもあるが、岩首や松ケ崎では冬になるとマダラを食べる習慣がある。たら汁には頭近くのほろほろの身や、背骨付近の引き締まった身を大胆に使う。雄なら白子をたっぷり入れ、雌の魚卵「真子(まこ)」は煮付けなどにする。

 佐藤和代さん(54)は、旧新津市から岩首の漁師の家に嫁いだ。漁に携わり30年、義母や近隣住民らにさまざまな魚料理を教わってきた。骨が硬いタラをうまくさばけるようになるには時間がかかったという。「タラは捨てる部位がないほど、さまざまな料理に使える。さばくのは苦労するが、食卓を彩る魚だ」とうなずく。

タラをさばく佐藤和代さん

 佐藤さん流のたら汁は、みそと下処理をしたタラを水の状態から...

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