具だくさんで彩り豊かな片野尾汁
具だくさんで彩り豊かな片野尾汁

 海も空も荒れ模様が続く新潟の冬は、寒さも長く続き、家にこもりがちです。そんな時、佐渡の郷土食を作ってみるのはいかがでしょうか。島の恵みと先人の知恵が詰まったレシピを紹介します。

※ページ下部にレシピあります。

 インゲンにニンジン、昆布と、彩り豊かな具材が大鍋でぐつぐつと煮込まれる。両津地区の片野尾集落の名物「片野尾汁」だ。

 数十年前までは冠婚葬祭を集落内で行っており、対象の家に各戸から参列するのが習わしだった。その際の定番料理で、集落で係を決めて作ったという。片野尾で育った宇治宜子(のりこ)さん(84)は「手早く作れて重宝した。対象の家は、何十人もの食器を用意しなきゃいけないから大変だったけど」と苦笑する。

 大勢の人に取り分けしやすいように具材は大きく切り、汁は少なめにするのが片野尾流。片栗粉でとろみを付け、冷めにくいように配慮している。春には山菜、夏にはサザエと季節により具材の変化も楽しめる。

 結婚を機に片野尾に移り住んで初めて食べた宇治公子(きみこ)さん(80)は「おつまみにもおかずにもなって、具だくさん。作った片野尾の人は偉い」とほほ笑む。

大鍋で片野尾汁を作る宇治公子さん(右)と宇治宜子さん

 現在は葬式も...

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