
コスモス柄(奥)と桜柄の「やせごま」
海も空も荒れ模様が続く新潟の冬は、寒さも長く続き、家にこもりがちです。そんな時、佐渡の郷土食を作ってみるのはいかがでしょうか。島の恵みと先人の知恵が詰まったレシピを紹介します。
※ページ下部にレシピあります。
ピンクや黄、茶の団子をパズルのように並べて絵柄を作る。直径15センチほどになった絵柄全体を両手で包み込み、手際よく左右に回しながら寄せて高さを出していく。直径5センチ前後の円筒形に圧縮された断面には華やかな桜が現れた。芸術品のような仕上がりに周囲から歓声が上がる。
佐渡市吉岡の真野ふるさと会館で2月16日に開かれた郷土料理教室で作られていたのは、釈迦(しゃか)の命日(2月15日)に供える団子の一種「やせごま」。30年以上前からやせごまを作る宇治芳枝さん(70)が実演した。
かつては地域のお堂などに供え、念仏が終わると参加者に配っていたという。佐渡では旧暦に合わせて3月15日に供える風習が残る。
上から見た円筒形が馬の背に似ていることから「やせうま」とも呼ばれ、呼び名や作り方は諸説ある。輪切りにすると金太郎あめのように同じ模様が出てくる。砂糖を入れると食感が柔らかくなり、焼いて頰張ると、ほんのりと優しい甘みが口に広がる。

畑野地区出身で地元の菓子店の人から作り方を教わった...
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