ぷっくりの身と香りが楽しめるカキご飯
ぷっくりの身と香りが楽しめるカキご飯

 海も空も荒れ模様が続く新潟の冬は、寒さも長く続き、家にこもりがちです。そんな時、佐渡の郷土食を作ってみるのはいかがでしょうか。島の恵みと先人の知恵が詰まったレシピを紹介します。

※ページ下部にレシピあります。

 島の冬の味覚には、カキも欠かせない。鍋やフライで楽しむのはもちろん、炊き込みご飯にして、ぷりぷりの身と、だしの香る米をぜいたくに味わうこともできる。両津地区で親しまれている「カキご飯」を求め、加茂湖のカキ小屋を訪ねた。

 原黒の藤井久子さん(85)宅は、先代から加茂湖でカキ養殖に取り組んでいる。平日は会社員として働く息子の英樹さん(61)が休日に出漁。久子さんは60年以上、殻から身を取り出す作業を担当しながら、カキを使ったさまざまなメニューを研究している。

 加茂湖のカキ養殖は昭和初期に本格化したとされる。今は原黒にはカキ漁をする家は2軒ほどしか残っていないが、かつては10軒以上はあったという。カキを通じた住民の交流も盛んで、料理を教え合うこともあった。久子さんもカキご飯のだいたいのレシピは人から学び、自己流の味にたどりついた。

毎年、たっぷりのカキで一升分のカキご飯を作る藤井久子さん

 もち米を使うのが久子さん流だ。おにぎりにしたり、...

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