
2011年の東日本大震災2011年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源にマグニチュード(M)9.0の地震が発生し、最大震度7を観測。東北地方を中心に大津波が発生した。東京電力福島第1原発は電源を喪失して炉心溶融(メルトダウン)が起き、原子炉建屋が水素爆発で損壊、大量の放射性物質が拡散した。による津波は、宮城県石巻市の山手にある社屋に押し寄せた。石巻市でタラコの製造・販売を手がける「湊水産」は津波で社員2人が亡くなり、社屋は全壊した。あれから間もなく14年。震災がつないだ縁で、新潟県長岡市の吟醸酒かすを使った商品が誕生。長岡の新たな特産品として売り出し中だ。湊水産は「震災復旧でお世話になった恩を返したい」と力を込める。
3月7日、石巻市。湊水産社長の木村一成さん(66)は、震災後に同じ敷地内で新築した社屋にいた。会社は海から約1・5キロ山側にあり、海抜は約7メートル。「まさかここまで津波が来るとは思ってもみなかった」と振り返る。
▽社長の決断
14年前のあ...
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