経済産業省資源エネルギー庁が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に理解を求めた説明会=2月2日、粟島浦村役場
経済産業省資源エネルギー庁が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に理解を求めた説明会=2月2日、粟島浦村役場

 東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。を目指す経済産業省資源エネルギー庁が2024年12月から新潟県全域を巡った説明会が終了した。柏崎市と刈羽村を除く28市町村全てで開催する異例の取り組み。原発活用を掲げる官庁として「説明の前面に立つ」姿勢を示した格好だが、大雪の時期とも重なり、出席者は伸び悩んだ。質疑応答がかみ合わない場面もあり、参加者から「地元を回ったとの実績づくりでは」との声も聞かれた。(本社原発問題取材班)

 説明会は「エネルギーを巡る状況とエネルギー・原子力政策について」と題して開催。会場では、燃料費が高騰する中で火力発電に頼る東日本の電力事情や、脱炭素の要請の高まりなどを示した分厚い資料を配布。「原子力は必要」と、柏崎刈羽原発の再稼働への理解を求めた。

 こうした説明会は異例だ。エネ庁が1都道府県のほぼ全ての自治体で開催するのは初めて。開催の理由について、エネ庁の前田博貴原子力立地政策室長は「原発の必要性や安全性について、国から直接説明してほしいとの花角英世知事の要望に応えた」と説明する。

 「再稼働問題は全県の問題だ」とする新潟県市長会会長の二階堂馨新発田市長をはじめ、磯田達伸長岡市長ら首長の発言や、県民投票を求める市民団体の署名活動の動きも意識したとみられる。

エネルギー情勢や柏崎刈羽原発に関して説明するエネ庁担当者=2024年12月15日、長岡市立劇場

 エネ庁によると、説明会には延べ560人が参加した。1会場当たり20人が訪れた計算になるが、中には自治体職員や地元の議員らも含まれる。

 開催は...

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