
養鯉場で働く五十嵐樹里さん=長岡市滝谷町の五十嵐養鯉場
「開発途上国で環境に優しい食用魚の養殖を普及させたい」。元海外協力隊員で、4年前に東京から新潟県長岡市に移住した五十嵐樹里さん(36)は、淡水魚の養殖技術を実地で学ぼうと、市内の養鯉場で働いている。将来は現場で培った技術を、途上国のために役立てたいと考える。国際協力の夢を描きながら、365日錦鯉と向き合っている。
東京都出身。小さい頃から魚が好きで、都内の水産高校に進学。東南アジアでエビの養殖場を造るためにマングローブの林が伐採されていることを知り、「持続可能な養殖を開発途上国に普及したい」と志した。2012年から、海外協力隊の隊員としてフィリピンに赴任。4年間、棚田でのドジョウ養殖に取り組んだ。
帰国後は水産開発コンサルタント会社で勤務した。さまざまなプロジェクトに参加する一方で「1、2週間の海外出張では経験が積めない。現場に住んで生きた技術を学び、海外に伝えたい」との思いを持つようになった。そこで目を付けたのが錦鯉養殖だった。
流水を使わずに、中山間地の野池で生育する錦鯉の養殖環境は、途上国の環境に似ている。越冬ハウスでの飼育では陸上での養殖設備を学べる。海外への輸出も多く、マーケティングの勉強もできるという。
21年に長岡に移住し、長岡市錦鯉養殖組合や養鯉場で経験を積んだ。24年には...
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