定住人口の増加を図るため、加茂市が市外からの移住者を対象に宅地を無償で分譲している。若宮町2に整備した住宅団地の10区画を「若宮ヒルズ」と銘打ち、18〜50歳以下の夫婦を対象に申し込みを受け付けている。これまで2区画が成約しており、市はさらなるPRを進める。

 若宮ヒルズはJR加茂駅から直線距離で約2キロ=地図参照=。周囲を緑に囲まれ、近くに敷地面積16・9ヘクタールの若宮公園がある。

 10区画は市が市有地に22区画を造成し、1998年度に分譲を開始した「若宮住宅団地」の一部。長く未利用だった土地の有効活用を図る狙いもある。

 1区画当たりの面積は約285〜370平方メートル。加茂市建設課の担当者は「市内の一般的な分譲地と比べて広い。家庭菜園もでき、子どもが遊び回れる環境だ」とアピールする。

 無償分譲の対象は、夫婦ともに加茂市外に住所があるか、市内に転入後3年を経過していないことなどが要件だ。市は申込者と契約を結び、2年間、土地を無償で貸し付ける。申込者が2年以内に家を建て、住民登録などの手続きを経て、無償譲渡が成立する。

無償分譲中の「若宮ヒルズ」の一角。周囲には豊かな自然が広がる=加茂市若宮町2

 2024年9月末の受け付け開始以降、早々に問い合わせがあり、成約した2世帯はいずれも子育て家庭だ。「自然豊かで農業資源が豊富」「治安の不安が少ない」などの条件で土地を探していたという。

 自治体による宅地の無償分譲を巡っては、県内では1990年代初めに旧入広瀬村が同様の事業を打ち出し、注目を集めた。

 近年、人口減対策で宅地の無償譲渡に乗り出した自治体は全国に複数あるが、県内で実際に宅地を無償分譲中なのは加茂市のみ。人口減少に歯止めがかからない中、思い切った施策を講じた。

 市建設課の担当者は「現地案内と移住体験ツアーも随時実施している。多くの人に移住を検討してほしい」としている。...

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