こたさんの絵本

 5億年以上前の古生物を水族館に展示したり、食べものでできた空想都市を巡ったり-。豊かな色彩感覚とみずみずしい発想で次々に作品を生み出しているのが、絵本作家・イラストレーターのこたさん(23)だ。子どものころに描ききれなかった空想の世界を、成長した持ち前の画力で表現し、子どもだけでなく大人からも支持を集めている。新潟県出身で、幼少期から絵の世界に没頭し続けている新進の作家に、デビューまでの道のりを聞いた。

■大学1年生のとき出版オファー

 自然豊かな新潟県でのびのびと育ち、公立高校を卒業した2020年春、第1志望だった多摩美術大学グラフィックデザイン学科に入学した。絵本作家の道筋が見えたのは、大学1年生の終わりごろ。ほぼ同時期に二つの出版社から「(こたさんのアイデアは)絵本にできそうだね」「作品を絵本にしてみませんか」と出版の打診があった。

帽子がトレードマークのこたさん。制作中は、家の中でも帽子をかぶっている。理由は「なんだか落ち着くから」

 きっかけは、...

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