NST新潟総合テレビ
NST新潟総合テレビ

 「怒りを通り越して、あきれた」。CM制作費として架空の経費を計上したとして、関東信越国税局がフジテレビ系列の「NST新潟総合テレビ」(新潟市中央区)に、6年間で計約11億円の所得隠しを指摘していたことが明らかになった3日、現役社員はこうつぶやき、会社への不信感をあらわにした。社員向け説明会は開かれたが、記者会見は行われず、報道各社からの質問には文書での回答のみ。後ろ向きな姿勢に社員からは「きちんと対外的に説明すべき。このままではフジテレビの二の舞になる」と嘆きの声が上がった。

 関係者によると3日午後、会社から一斉メールが入り、社員向け説明会が開かれたという。集まった約50人を前に、酒井昌彦社長が冒頭で謝罪した後、経緯を説明。組織的な所得隠しはなかったと強調した。出席した複数の社員は資金の流れなどをただしたが、会社側は「全容が分からない」などと繰り返したという。

 NSTはフジテレビの系列局。元タレント中居正広氏の「性暴力」に端を発した問題でCM見合わせなどの影響を受けた。ある社員は「向けられる目が厳しい中で追い打ちとなった。会社として変わらなければならない」と苦言を呈した。

 県内の民放関係者もあきれる。「全くガバナンス(企業統治)が効いていない。文書のみの公表では報道機関としての説明責任を果たしていない」と断じた。

 一方、広告収入を得るためにスポンサーらを接待し、囲い込むNSTの企業体質が問題の背景にあるのではないかとみる業界関係者もいる。「かつては広告代理店やスポンサーを招いた旅行企画もあった。そうやることで売り上げを確保し、業績は...

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