「海」の書を前に「新潟島の空や景色にすごく引かれた」と語る華雪さん=新潟市中央区の砂丘館
「海」の書を前に「新潟島の空や景色にすごく引かれた」と語る華雪さん=新潟市中央区の砂丘館
「海」の書を前に「新潟島の空や景色にすごく引かれた」と語る華雪さん=新潟市中央区の砂丘館

 20年以上前から新潟市中央区の新潟島を巡り、書に表現してきた書家の華雪さん(50)=東京都=の作品展「刺心(ししん)」が8月31日まで、中央区の砂丘館をメイン会場に開かれている。この地で強く引かれたという「海」と「花」の一字書きなど、新潟島の季節の移ろいや時間の流れを筆致に込めた。

 新潟市出身の作家、坂口安吾の作品の中に「空が落ちてくる」という一節がある。華雪さんは初めて新潟市を訪れた際、灰色で分厚い雲に覆われた冬の空を見てふに落ちた。以来度々滞在し、歩いたり走ったりしながら海や季節の草花を見つめてきた。「自分の存在まであいまいに感じられるほどの自然の強さに引かれた」という。

 近年は墨だけで...

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