独自の景色、光生み出す
「起源」(beginning2001-2)。胎内市出身の彫刻家大平實氏が、旧約聖書にある全ての始まりを具現化した作品だ。「題名は見た人にとって感じたままに言葉にすればそれで十分」と大平氏は語り、私は10年前の胎内市美術館開館時から、来館者と「何に見えるか」という対話を楽しんできた。
大平氏の作品は美術館の中で“命の気配”を漂わせている。シンプルなフォルムとは対照的に、その外観から制作手法を想像できた人はいない。
初めて見る人には信じられないかもしれないが、作品は身の回りに打ち捨てられた廃材など役割を終えた物でできている。役に立つかどうかではなく、そこにまだ命があること、生まれ変われるというこ...
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