コンゴのマタディ橋を望む高台で建設の経緯を振り返るディコレレ。完成時には「ついに人々の命を救うものができたと思った」と感慨に浸ったという=2025年4月(撮影・中野智明、共同)
 コンゴのマタディ橋を望む高台で建設の経緯を振り返るディコレレ。完成時には「ついに人々の命を救うものができたと思った」と感慨に浸ったという=2025年4月(撮影・中野智明、共同)
 コンゴのマタディ橋のたもとで打ち合わせをするバハングル(右端)と作業員。「体調はどうか? 家族は元気か?」と毎回確認し、事故につながるリスクに気を配る=2025年4月(撮影・中野智明、共同)
コンゴ(旧ザイール)・マタディ、コンゴ川

 アフリカ・コンゴ(旧ザイール)を貫く大河コンゴ川に、たった1本架けられた橋がある。42年前に日本の支援で開通したアフリカ最大級のマタディ橋だ。「橋を造り、人々を救わねばならない」。かつて水難事故で妹を失った男性は、二度と悲劇を繰り返させないとの思いを胸に建設現場に身を投じ、日本の技術者らと共に汗を流した。

 橋は日本とコンゴの友好のシンボルとも評され、内戦や経年劣化といった課題を乗り越えつつ、物流の要として機能し続ける。その未来を担うのは、建設当時を知らない若手技術者だ。「橋を愛して」という日本人技術者の言葉を心に留め、保守作業を継承している。

 ▽犠牲

 首都キンシャサの南西約270キロにある港...

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