研究室内の植物コレクションについて説明する長谷部光泰さん=6月、愛知県岡崎市
 研究室内の植物コレクションについて説明する長谷部光泰さん=6月、愛知県岡崎市
 2022年、紫綬褒章の伝達式の後、モウセンゴケの模型を傍らに置いて講演する長谷部光泰さん=愛知県岡崎市(本人提供)

 長谷部光泰さんは、コケ植物「ヒメツリガネゴケ」を材料に、植物の形態の進化を探ってきた。花の次に挑んだのは、植物の陸上進出に欠かせない、体に厚みを持たせる遺伝子の起源だった。

 体が厚くなるように細胞が分裂することで、植物は全身に水を運ぶ導管などの組織をつくり、体を支え、乾燥した陸上でも生きられるようになった。長谷部さんらの研究チームは2023年、陸上植物の共通祖先に3種類のバクテリア(細菌)の遺伝子が侵入し、その働きが多様化して体の厚みを増す仕組みを獲得した可能性を示した。

 「あとは(モウセンゴケなどの食虫植物やオジギソウのような)体が動く仕組みが分かれば、陸上植物の進化を一通り理解できると思...

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