三鷹天命反転住宅の一室で。「ここにいると、不思議と一人でも孤独じゃない。生命とは何かということを、家全体が問いかけてくるような気がするんです」と話す本間桃世=2025年7月、東京都三鷹市(撮影・林昌三)
 三鷹天命反転住宅の一室で。「ここにいると、不思議と一人でも孤独じゃない。生命とは何かということを、家全体が問いかけてくるような気がするんです」と話す本間桃世=2025年7月、東京都三鷹市(撮影・林昌三)
 三鷹天命反転住宅の外観。海外からの見学者も後を絶たない。現在9戸のうち5戸が賃貸住宅として使用されているほか、宿泊もできる=2025年7月、東京都三鷹市(撮影・林昌三)
 屋上から見た三鷹天命反転住宅=2025年7月、東京都三鷹市(撮影・林昌三)
 夜になり部屋に明かりをともすと、宇宙船にいるような空間が広がった=2025年7月、東京都三鷹市(撮影・林昌三)
 本間桃世の年表
タイトルカット

 「なんだこれは?」

 見る者をぎょっとさせる建物が、東京都三鷹市にある。円柱形と立方体が組み合わさった構造物が、赤、青、黄、緑などの原色で彩られ、どこかのテーマパークのパビリオンが突如、住宅街に出現したかのようだ。

 「三鷹天命反転住宅」。芸術家で建築家の荒川修作(あらかわ・しゅうさく)と詩人のマドリン・ギンズが建てた一種の実験住宅だが、全部で9戸の部屋のいくつかには、実際に人が住んでいる。

 室内は外装の丸と四角が内部に食い込んだように入り乱れ、カラフルに塗り分けられた壁や天井に目を奪われる。中央には竪穴住居の炉のようにキッチンが配され、仕切りのない部屋の中には球体のものもある。

 「床に緩やかな...

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