イタリア南東部のマルティナフランカの広場に展示された「ビルディング・ブリッジズ」。手前のアーチは両手の指が絡まり「愛情」を表現している=2025年6月(撮影・沢田博之、共同)
 イタリア南東部のマルティナフランカの広場に展示された「ビルディング・ブリッジズ」。手前のアーチは両手の指が絡まり「愛情」を表現している=2025年6月(撮影・沢田博之、共同)
 ロレンツォ・クイン(左)とパートナーのビクトリア。ギリシャの自宅にはクインの作品が至る所に飾られていた=2025年7月(撮影・沢田博之、共同)
イタリア・マルティナフランカ

 晴天に恵まれて花めく旧市街。カフェや商店に囲まれた憩いの広場に、まばゆい陽光を浴びる真っ白な手のアーチが並ぶ。ベンチに腰かけて見入る夫婦、忙しく位置を変えて記念撮影をする家族…。思い思いに、この風変わりなオブジェを楽しんでいる。

 イタリア南東部の小都市マルティナフランカ。六つの巨大なアーチは、いずれも人の肘から先が対になっている。交わる手の形が一つ一つ異なり、それぞれ「友情」「信頼」「扶助」「愛情」「希望」「英知」を意味する。

 旅行で訪れた初老女性セレナは目を奪われた。「現代人のすさんだ心に訴える強烈なメッセージがある」。作者のロレンツォ・クイン(59)は「あらゆる壁や垣根を越えた連帯意識の...

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