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 四ツ合村(潟東村=現新潟市西蒲区)に落ち着いたオヤジは、農協に勤め始めた。でも、田んぼを持っていなかったから、貧しかったですよ。いろり端でいつも「これから一週間、塩なめてでも頑張ろう」って言われてた。

 農協からの収入が月4千円。どんなに節約しても、5人家族で9千円は必要だったの。ボクは器用だったから、あんどんやもちを焼く金網を作って、少しは家に貢献していたつもりだ。修学旅行も行けなくて、教室で独り作文を書いてた。作文は、学校の先生によくほめられたよ。

 オヤジは実直な人だったから「どんなに腹が減っても(食事に)呼ばれるな」ってボクらに言ってた。そのくせ、自分はどこでも上がり...

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