送検のため栃木県警今市署を出る勝又拓哉容疑者(当時)=2014年6月
送検のため栃木県警今市署を出る勝又拓哉容疑者(当時)=2014年6月
控訴審初公判後に記者会見する勝又拓哉被告の弁護団=2017年10月
栃木小1女児殺害事件で殺人罪に問われた勝又拓哉被告の控訴審判決で東京高裁に向かう弁護団=2018年8月
「キミには黙秘の権利なんかない」と書かれた被疑者ノート
被疑者ノートの一部
遺体が発見された山林の斜面=2024年7月、茨城県常陸大宮市
逮捕前の勝又拓哉受刑者(家族提供)
吉田有希ちゃんの情報提供を呼びかける新しいポスターを張り出す警察官=2005年12月

 「君、人殺したことあるよね?」。一時は迷宮入りがささやかれた“今市事件”こと栃木小1女児殺害事件。検事によるこの質問を皮切りに、計約3カ月間におよぶ殺人容疑での取り調べが始まった。対象は、警察がマークし、別事件で逮捕した男。男が捜査の様子をつづった「被疑者ノート」や公判証言などによると、取り調べは過酷を極めた。男の証言によると、取り調べ中に自殺未遂にも追い込まれたことも。後に有罪判決を下した裁判所さえ批判するほどだった。男は現在、獄中から冤罪を訴える。事件発生から20年、取り調べの実態を再検証した。(共同通信=武田惇志、片山歩)

 ▽食い違う証言

 女児殺害事件の発生からおよそ8年後の2014年...

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