青果市場だった長屋を改装した「沼垂テラス商店街」の店舗。旧店舗の看板が昭和レトロな雰囲気を醸し出す=2025年7月、新潟市
 青果市場だった長屋を改装した「沼垂テラス商店街」の店舗。旧店舗の看板が昭和レトロな雰囲気を醸し出す=2025年7月、新潟市
 沼垂テラス商店街で開かれた毎月の朝市イベント。通りの先に製紙工場の煙突が見える=2025年7月
 花屋を開く夢をかなえた橋本佳尚さん(左)、久美子さん夫妻。こだわりの内装と花に囲まれて=2025年7月
 自らデザインした服のコンセプトを説明するヒキノユウタさん=2025年7月
 昭和40年代に撮影された現在の沼垂テラス商店街周辺。右下に青果市場の長屋が確認できる(テラスオフィス提供)
 陶芸工房の開業に向けたリフォームの様子。沼垂テラス商店街の三つ目の店舗として2012年にオープンした(テラスオフィス提供)
 商店街の名物となった焼き菓子「沼ネコ焼」(テラスオフィス提供)
 商店街で開かれるイベントの運営を支えるボランティアのスタッフと談笑する田村寛さん(右から2人目)=2025年7月、新潟市

 信濃川河口に近く、古くから港町として栄えた新潟市中央区の沼垂(ぬったり)地区。この歴史ある街で、青果市場だった長屋を改装した「沼垂テラス商店街」が全面オープンから10年を迎えた。かつてのシャッター街はにぎわいを取り戻し、陶芸工房や雑貨店、カレー屋、カフェなど個性あふれる店が並ぶ「古くて新しい」商店街に生まれ変わった。

 昭和レトロな雰囲気にも引き寄せられ「ここで夢をかなえたい」と起業を希望する若い世代が集まる。観光客は県外や海外からも押し寄せ、地元の学生や若者もまちづくりに参加する。人々の新たなつながりが、次の担い手を呼ぶ好循環が生じている。始まりは、衰退する地域への危機感から立ち上がった地元...

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