新潟国際アニメーション映画祭の開催を発表し、記者会見する堀越謙三(右)と梨本諦嗚=2022年5月、新潟市中央区

 半導体やソフトウエア産業などが集まるアメリカ・シリコンバレーのように、新潟をアニメーション産業の集積地とする壮大な将来像を描いた人物がいる。今年6月、80歳で逝去した映画プロデューサー堀越謙三だ。「新潟をアニメのまちに」-。堀越はその道筋をつけようと奔走した。

 堀越は元々、アニメや漫画畑の人物ではない。東京の映画会社「ユーロスペース」代表。新進気鋭の作品をプロデュースするなど、ミニシアター文化を先導した。

 1987年、戦後に元上官らの戦争責任を追及した元陸軍兵のドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」を、東京ではユーロスペースが公開した。他の劇場が敬遠することを見越して、日程を空けていた。「当たるという確信があった」と見込んだ通り、ロングラン上映で、過去最高の興行収入をたたき出した。

 堀越は、...

残り1987文字(全文:2339文字)