
「北方異民族慰霊之碑」と碑文=11月、神戸市
太平洋戦争では、樺太(現サハリン)の北方少数民族も日本軍に「召集」され、任地や戦後の抑留で命を落とした。正確な犠牲者数は分からないまま、今ではその史実も忘れ去られつつある。彼らの元上官を父に持つ男性は、神戸市で慰霊を続けている。「彼らの存在を知ることが反戦につながる」との思いからだ。
「今日は樺太の話をしようか」。扇進次郎さん(78)は、幼少期に父貞雄さんが毎晩語ったのを覚えている。任地の大自然や、情報戦要員を養成した陸軍中野学校での忍術の授業。冒険王のような楽しい話ばかり聞かせてくれた。
戦時中、日本は南樺太に特務機関を設置。国境を越えて自由に動ける少数民族「ウイルタ」や「ニブヒ」に、ソ連...
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