
現在の「石巻工房」の建物2階に残る東日本大震災の津波の跡=10月、宮城県石巻市
東日本大震災で津波の被害を受けた宮城県石巻市。がれきの中、生活を立て直すため住民が互いに教え合いながら、いすやテーブルを手作りする場があった。建築家らが工具や資材を提供し、DIYを学んだ「石巻工房」。シンプルなデザインと実用性の高い家具が評判となり、やがて売り出されるように。今や海外にもファンがいるブランドへと成長した。
2011年の震災直後、東京に事務所を構える建築家芦沢啓治さん(52)が、被災した取引先を訪ねて石巻に入った時だった。商店街の店主たちがあり合わせの道具で浸水した店を修理していた。「誰でも自分の手で修理や家具製作ができる場所をつくりたい」。仲間のデザイナーや業者に声をかけ、工...
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