マーシャル諸島マジュロで、波の浸食が進み根が露出した木=2025年11月(共同)
 マーシャル諸島マジュロで、波の浸食が進み根が露出した木=2025年11月(共同)
 道路を乗り越えて降りかかる海水=2025年11月、マーシャル諸島マジュロ(共同)
 マーシャル諸島の将来を憂う元国会議長のケネス・ケディさん=2025年11月、マジュロ(共同)
 海面上昇で墓地に危険が迫っていると訴えるホイットニー・ロークさん=2025年11月、マーシャル諸島マジュロ(共同)
 満潮時に海辺で釣りをする人たち=2025年11月、マーシャル諸島マジュロ(共同)

 冷戦期に米国が繰り返した核実験による放射能汚染で知られる太平洋のマーシャル諸島共和国は、地球温暖化に伴う海面上昇被害の最前線だ。ブラジル・ベレンで国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開かれていた2025年11月、私はマーシャル諸島の首都マジュロを訪れた。気候変動を「でっちあげだ」とうそぶく米国のトランプ大統領が多国間協調に背を向ける中、COP30の議論の低調ぶりはマジュロにも伝わっていた。「こんな不正義が許されるのか」。放射能汚染された土やがれきの保管場所が海に漬かり、冷戦時代の“核の亡霊”が大量流出する懸念も広がる。故郷を翻弄してしてきた大国の身勝手に住民の落胆と憤りの...

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