サッカーの世界に別れはつきもの。そうは言っても選手を送り出すサポーターが寂しさに慣れることはない。J2降格という憂き目に遭い、クラブを支えた功労者が離れるとしたら、なおさら悲しみは深くなるだけだ。ただ、サッカー界の中でも異質のエンターテイナーDF千葉和彦の場合は違った。別れの会場を自ら演出し、サポーターたちを笑顔であふれさせた。21日に開かれた「千葉和彦 最初で最後の独演会 -新潟編 -」の様子をリポートする。
「目が死んでる」
会場の新潟テルサに近づくほど、車の流れが悪くなる。まさかとは思ったが、たった1人の選手のために渋滞が発生していた。1400人、会場には満員のサポーターたちが詰めかけた。そして「独演会」が始まった。

なぜかキックボードに乗って、サンタクロース姿で登場した千葉。1回通り過ぎて、戻ってくるお約束を披露した。続いて満員のサポーターたちを見渡し、「皆さん、相当ひまですね(笑)」と呼び掛けると、会場は温かな笑い声に包まれた。
「独演会」とは言いつつも、立石勇生さんと語り合いながら、新潟で過ごした計11年半の日々を振り返った。
千葉が新潟に加入したのは2005年の夏。新潟はJ1に初昇格して2年目のシーズンだった。当時は反町康治監督だった。

「うわあ、目が死んでる!」。入団当初、...
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