自宅周辺に広がるニンジン畑に立つ栗原恒治さん=11月、千葉県富里市
 自宅周辺に広がるニンジン畑に立つ栗原恒治さん=11月、千葉県富里市
 自宅周辺に広がるニンジン畑に立つ栗原恒治さん=11月、千葉県富里市
 千葉・富里空港の候補地、成田空港
 富里空港案の経過

 成田空港から南西に約10キロの千葉県富里村(現富里市)周辺に「富里空港」をつくる計画があった。数年にわたる地元農家らの激しい反対運動で頓挫した計画を政府が内定してから60年。「幻」となった地には今、多くの従業員が住み、成田空港を支えている。

 全国有数のスイカやニンジンの産地として知られ、のどかな風景が広がる富里市。「本当の話かって最初は半信半疑だったよ」。農家の栗原恒治さん(85)は、1963年に新空港候補地として報じられた際の衝撃を、今でも覚えている。明治以降の入植者が多く、高度経済成長の恩恵で潤い始めていた住民には「寝耳に水」だった。

 航空需要の急増で東京国際空港(羽田)の処理能力が限界...

残り747文字(全文:1047文字)