蜂屋勝弘・日本総合研究所上席主任研究員
 蜂屋勝弘・日本総合研究所上席主任研究員

 2026年度の政府予算案は一般会計の総額が122兆円台に乗り、2年連続で過去最大となる。高齢化や安全保障環境の変化、物価高や金利上昇を踏まえると、やむを得ない面もある。しかし最大の税収を見込むにもかかわらず、新規の国債発行額が当初予算としては5年ぶりに増加。財政健全化に向けた今後の姿勢次第では、財政運営に対する市場の信認への悪影響が懸念される。

 近年、大型の補正予算編成が常態化している。わが国の財政状況に鑑みれば今後、予見できなかった経済危機や大規模災害に対処するための経費と義務的な経費の追加にとどめ、税収が上振れた場合には巨額の政府債務の償還に使うべきである。

 不透明な国際経済環境や風水害...

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