震災遺構として公開されている「松永窯」の旧店舗=11月、福島県浪江町
 震災遺構として公開されている「松永窯」の旧店舗=11月、福島県浪江町
 福島県西郷村で「大堀相馬焼」を作陶する「松永窯」3代目の松永和夫さん=11月
 福島県西郷村で作陶を続ける「松永窯」3代目の松永和夫さん(左)と4代目の武士さん=11月
 「松永窯」の旧店舗を案内する4代目の松永武士さん(左)=11月、福島県浪江町
 震災遺構として公開されている「松永窯」の旧店舗(右)と住民の交流などの場として整備を進める窯場=11月、福島県浪江町
 福島県浪江町・松永窯旧店舗

 人影のない静かな街に、茶色がかった白い建物がひっそりと立つ。東京電力福島第1原発事故により避難を強いられた福島県浪江町で、伝統的工芸品「大堀相馬焼」の窯元「松永窯」が、荒廃した旧店舗を遺構として公開している。「原発事故をなかったことにしたくない」。4代目の松永武士さん(37)は奪われた故郷の記憶をとどめ次世代へつなぐため、保存を決意した。

 旧店舗に足を踏み入れると、床に散乱した陶器の破片が目につく。壁のかけ時計は、東日本大震災が発生した午後2時46分あたりを指したまま。震災前に約3千点あった焼き物は動物に荒らされたといい、無残な姿をさらしていた。

 大堀相馬焼は浪江町大堀地区で江戸時代に発祥し...

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