生涯見つめた昭和新山と三松三朗さん=2020年、北海道壮瞥町
 生涯見つめた昭和新山と三松三朗さん=2020年、北海道壮瞥町
 三松正夫記念館での三松三朗さん(江川理恵さん提供)=2023年4月、北海道壮瞥町
 噴火し、噴煙を上げる有珠山=2000年3月31日、北海道虻田町(現洞爺湖町)
 有珠山噴火を見守る三松三朗さん=2000年4月7日、北海道洞爺村(現洞爺湖町)
 火山学者や、火山好きの仲間らが三松三朗さんをしのんだ追悼シンポジウム=2025年10月、長野県松本市
 昭和新山の前で三松三朗さん(右)(田鍋敏也さん提供)=2001年4月、北海道壮瞥町

 2000年の北海道・有珠山の噴火では、麓の幼稚園や国道、工場などに大量の噴石が降り注いだ。事前に避難が完了していなければどうなっていたことか。1人も死者やけが人を出さなかったのは、火山学者や自治体などの適切な防災対応に加え、住民の三松三朗さんが地元で長年力を注いだ啓発活動も大きく貢献した。愛してやまない火山との共生を目指した人生を送り、2025年夏、火山が窓から見える自宅で息を引き取った。88歳だった。

 日本は、富士山をはじめ活火山が111ある。火山には温泉や広大な風景などの恩恵もあれば、2014年の御嶽山噴火のように、時として大きな災禍をもたらすこともある。この火山大国で、私たちは、火山と...

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