
一緒に暮らした家の玄関前で並ぶテュイ(左)と花崎みさを=2024年9月、千葉県木更津市
新居へ向かう車中、ベトナムから来た少女ファム・ティ・タン・テュイは窓に映る夜の闇をじっと見つめていた。1981年8月、神奈川県にある難民の定住促進センターでの日本語教育を終え、千葉県木更津市で花崎みさを(83)の里子として暮らし始める。
「夜中に草むらを抜け港に行ったことや、暗い海を思い出しているのだろうか」。花崎は難民として祖国を逃れたテュイの気持ちに思いをはせ、胸が締め付けられた。
テュイとの出会いをきっかけに、花崎はアジアと日本の子どもが共に生活する児童養護施設「野の花の家」を設立した。ぶつかり合いながら「親子」になる過程で「違いを認めなければ、差別になってしまう」ことに気付かされたと...
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