国際ジャーナリストの伊藤千尋さん
 国際ジャーナリストの伊藤千尋さん

 米国のベネズエラ侵攻が大きく報道されるが、米国から見たニュースが大半でベネズエラ内部の様子がほとんど伝わらない。中南米を半世紀にわたって取材した体験から、この国の内情や今後の見通しなどを論じたい。

 首都カラカスを訪れると周囲の岩山を粗末な家がびっしりと覆う。スラムだ。農村から貧しい人々が都市に流れ住みついた。富裕層が支配した時代の政府はスラムに道も水道も電気も、学校も病院もつくらなかった。この国は石油の利権に群がる富裕層と圧倒的多数の極貧層に二分していた。

 こんな状況を変えたのが1999年に大統領となったチャベス氏(2013年死去)だ。スラムに電気や水道を引き、道路はもちろん平地と頂上を結ぶ...

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