津波で被災した岩手県陸前高田市立博物館=2011年3月(同館提供)
 津波で被災した岩手県陸前高田市立博物館=2011年3月(同館提供)
 補彩の様子を再現する土師広さん=2025年12月、東京都杉並区
 津波で損傷した絵画(左)と修復後の画像
 岩手県陸前高田市立博物館で無料公開された修復した絵画=2025年11月
 岩手県陸前高田市立博物館で公開された景勝地・高田松原を描いた油絵=2025年11月
 絵画を修復中に取り切れなかったカビの跡への補彩作業の様子=2018年(土師広さん提供)
 絵の具が欠損した絵画を修復する土師広さん=2017年(本人提供)
 絵画修復家の土師広さん
 岩手県陸前高田市

 東日本大震災の津波は美術品にも被害を及ぼした。岩手県陸前高田市の市立博物館では、収蔵する絵画など約150点が海水や泥に漬かった。全国の専門家による前例のない地道な修復を終え、2025年末までに全作品が返還された。よみがえったのは「市民の心の故郷」だった。

 損傷した絵画は、陸前高田市ゆかりの画家が描いた油絵や水彩画、アクリル画など。同市内に自宅を構えた行木正義や、その師で東京の百貨店「三越」の包装紙をデザインした猪熊弦一郎ら著名な画家の作品も含まれる。

 市立博物館の建物は11年3月の津波で全壊。絵画はがれきに埋もれたが、文化庁主導の文化財レスキューで同年夏までに救出された。

 主任学芸員の熊谷賢...

残り707文字(全文:1007文字)