佐伯啓思さん
 佐伯啓思さん

 26年間続いた人気のテレビドラマ「科捜研の女」が先日、幕を閉じた。私もよく見ていたので少し残念である。

 沢口靖子さんが演じる、京都府警の科学捜査研究所の研究員が、もっぱら、事実と証拠だけに基づいて犯人を追い詰めるという警察もののドラマだ。

 ドラマの売りのひとつは、毎回登場する、あれこれの技術を使った科学的鑑定である。沢口さんが述べる「科学はうそをつきません」というセリフが、このドラマのコンセプトになっている。

 ▽席巻する実証主義

 26年前というと、米国で始まったIT革命が世界中に波及し、日本もその流れにのって、最新の情報技術が経済も社会も大きく変えてゆくという期待に動かされていた時代である。...

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