
2017年1月、スキージャンプの丸山希(27)は、初めて代表に選ばれたワールドカップ(W杯)を前に、札幌に滞在していた。ところが、がんで闘病中の母、信子さんが亡くなったと連絡を受け、あわてて長野県の自宅へ。悪天候で飛行機が飛ばず、船や電車を乗り継いでなんとか帰り着いた時、父の守さんが告げた。
「次の日の札幌行きチケットを予約してある」
驚く丸山に、父は理由を説明した。母が亡くなる直前、こう言い残していたのだ。
「私のことに時間を使わなくていい。自分でつかんだ権利を無駄にしないで」
母の思いを知った丸山は葬儀に出ず、W杯に戻った。
あれから9年。ミラノ・コルティナ冬季オリンピック代表になった丸...
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