広瀬陽子・慶応大教授
 広瀬陽子・慶応大教授

 ロシアのウクライナ全面侵攻から間もなく4年。今年はこれまでと様相が異なる。「和平」や「停戦」という言葉が、かつてなく現実味を帯びて語られているからだ。

 だが交渉が進んでいるように見える一方で、ロシアの攻撃はやんでいない。和平が語られる頻度が増えたにもかかわらず、戦場の論理は変わっていないのだ。この奇妙な同時進行こそ、現在の最大の特徴である。

 多くの構想の中でも、米国の提案はその中心と位置付けられている。提案では、前線凍結や非武装地帯の設置、領土交換などが示される。だが、それらは戦闘停止の技術論に過ぎず、恒久的な停戦を保証する秩序を生み出すものではない。停戦は叫ばれるものの、それは和平を意味し...

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