収集者の確かな選択眼

 綿高一郎さんには十数年前に会った。

 「ひとを感じる」ということは、そのひとと会い、別れた後に思い出そうとして浮かぶ、言葉や声、笑顔、ファッションなどからのトータルな印象、「感じ」のことだ。あるいは個展の会場で、一つ一つ違った展示物であっても、それらを作った一人のひとを感じさせるということもある。

 砂丘館では、これまで何度か個人コレクターの集めた絵を紹介してきた。そして思ったのが、絵を一堂に会し眺めると、一点一点を描いたひととともに、見、求める行為を重ねたひとの存在が感じられてくることだった。

 綿さんとの出会いは、そんなことを意識し始めた時分だった。折に触れ絵を買っていると聞き、まだ見ていないのに、そのコレクションを並べる展示をしたいと思った。「このひとを感じさせる絵」を見たくなった。綿さんに会って、間違いなく自分が見て好きな展示になるという確信のようなものがあった。

 昨年、東京の綿さん宅へ借りに行き、持ち帰って初めて見た絵たちは、...

残り655文字(全文:1077文字)