
新潟県内では今冬、短期間に集中的な降雪があり、除雪業者がひっ迫した。県は2月、5年ぶりに自衛隊に災害派遣を要請。陸上自衛隊高田駐屯地(上越市)の隊員が魚沼市に出動したが、同時期に降雪量が多い地域は他にもあった。読者から「災害派遣に基準はあるのか」との声が寄せられた。関係者を取材すると、現場のニーズと公共性の間で苦慮する実態が浮かんだ。(報道部・遠藤寛幸)
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自衛隊の災害派遣は、都道府県知事の要請に基づき、(1)緊急性(2)非代替性(3)公共性-の3要件を勘案して防衛相などが派遣の可否を決める。3要件について明確な基準はなく、総合的に判断するとされている。
複数の関係者によると、これまで公共性の観点から個人宅での活動は難しいとの見方が強かった。2021年に大雪で上越市と柏崎市に災害派遣された際も、自衛隊の活動範囲は福祉施設などに限られた。県内自治体の関係者は「除雪のニーズがあるのは個人宅だが、どう公共性を担保するのか理屈付けが必要になる」と対応の難しさを語る。
▽個人宅でも「公共性がある」と判断
しかし、今回の魚沼市での活動では、自衛隊が個人の自宅を対象に雪下ろしを行っている。どういうケースなら認められるのか。
新潟県より先に記録的な大雪となっていた青森県では、1人暮らしの高齢者宅を対象に自衛隊へ災害派遣を要請し、これまで難しいとされていた個人宅の除雪が実施された。
新潟県危機対策課によると、県は青森などの情報を集めた上で、大雪で災害救助法の対象となった小千谷、魚沼、長岡、上越の4市に積雪状況を聞き取り、自衛隊と本格的な協議に入ったという。
その結果、山間地の1人暮らしの高齢者宅であれば公共性があると判断。4市のうち派遣を求めた魚沼市で、2月9〜11日の3日間、陸自高田駐屯地の隊員延べ約170人が4軒の雪下ろしを行った。2メートル以上積もった屋根雪を高所作業車を使いながら、慎重に落とした。
災害派遣要請を受けて除雪作業を行う自衛隊員。個人宅4軒で作業に当たった=2月9日、魚沼市須原
▽緊急時の対応、喫緊の課題
高田駐屯地を管轄する陸自第12旅団司令部は取材に「災害派遣の基準を一律に定めることは困難だ」と強調。「県の要請を受理したもので、個人の自宅に活動範囲を広げたとの認識はない」と説明する。
一方で、高齢化や人手不足で地域の除雪体制は年々厳しさを増している。県によると、今冬の降雪量は過去10年で4番目と、極端に多かったわけではないが、1月下旬から2月上旬に集中的に降雪があった。除雪業者を頼んでも「10日から2週間待ち」という状況があったといい、災害派遣を含め緊急時にどう対応するかは喫緊の課題だ。
県は4月22日、来冬に向けた緊急対策を発表した。雪下ろしの人材確保策として、事業者向けの講習会を初めて開催するほか、新規参入を働きかける。市町村や関係団体へのヒアリングを通じて課題を総括し、県全体で事業者を調整する取り組みを強化する。
第12旅団司令部は「災害に即応できる態勢を引き続き維持していく。自治体と認識を共有した上で災害派遣の要否について適切な調整を行い、連携して対応する」としている。...












