学習教材といえばいいだろうか。そこにこんな会話が出てくる。「お母さん、お金ちょうだい」「何を買うの、けんちゃん」「紙20枚、算数の宿題に使うんだよ」。でも、紙に計算を書き込むわけではなさそうだ
▼次のような宿題を出されたという。「紙の長さは36センチ。これを20枚つないだら長さはどれだけになりますか? のりで貼るときには1センチだけ重ね合わせます」。聞かされた母親は戸惑う。「本当に貼ってみるつもり?」
▼実際に貼って測ろうとするのは、偉いといえば偉い。だが、母親の困惑も当然だ。「算数の問題をやるたんびに問題の中の品物を買ったら大変なことになるわ」。ここで中学1年の兄が登場する
▼手近にある新聞紙を切ったり、重ねたりして、実際に20枚もつなぐことがどれだけ面倒かを弟と試し始める。そして兄弟がたどりついた答えは、7メートルと1センチ
▼1960年代の「おはなし算数」という出版物から紹介させてもらった。算数の面白さを知ってもらうため漢字には読み仮名を振り、優しい兄を登場させ、物語仕立てで計算の世界へ手招きする。裏を返せば、どの時代にも算数嫌いがいるということだ
▼文部科学省のあたりで最近、算数と数学に分かれている教科名の統一が議論されている。指導内容に連続性を持たせることで苦手意識を持つ子どもを減らす狙いがあるらしい。今のところ数学への統一が有力だという。どうだろう。苦手だった身からすると、むしろ易しい算数への統一を提案してみたい。
