激しい人種差別がはびこる時代だった。大リーグでジャッキー・ロビンソンが黒人選手として初めてプレーしたのは1947年のこと。グラウンド内外での迫害やあつれきに屈せず卓越したプレーを見せたロビンソンは、社会そのものを変える力となっていく
▼功績をたたえて年に一度、大リーグの全選手がロビンソンの背番号「42」をつけて公式戦を戦う。その光景を重ねた。NPB日本野球機構の審判員らが一斉に数字の「29」をつけて試合に臨んだ
▼背番号と同様に審判もそれぞれ番号を持つ。29は小千谷市出身の川上拓斗さんの番号だ。川上さんは1軍の球審デビューだった4月の試合で、打者のバットが頭を直撃し意識不明となった。今日で1カ月になる。番号の共有に仲間は祈りを込めた
▼中越高校野球部出身で30歳の川上さんは、BCリーグの審判を経て、NPBで選手になる以上にシビアな審判の狭き門をこじ開けた。重圧を背負い、正確にジャッジして当たり前。野球愛が深くなければとても務まらない仕事だ
▼2022年に本契約審判に昇格した当時、唯一の本県出身者だった。今季の在籍審判は育成の10人を含めて65人しかいない。修練を重ね、念願の1軍球審を任され、これからという時に事故は起きた
▼事故後に球審のヘルメット着用や危険スイングへの罰則が定められるなど環境整備は進んだ。あとは川上さんの回復を待つばかりだ。なんとしても復帰してほしい。病室で闘う川上さんを新潟から全力で応援する。
