忠実なしもべとして、良き相棒として。馬は人間との付き合いが長く、深い。フランスのラスコー洞窟で見つかった旧石器時代の壁画には馬が描かれている。人間が求める用途に応じて品種改良も重ねられてきた

▼古くから食用に供された。物を積んでそりや車を引く。農作業を手伝い、移動手段としても使われた。5世紀前後に日本に馬が持ち込まれたのは、軍事利用のためだったとの説もある。馬は戦いの場でも重宝されてきた

▼有権者が代表を選ぶ選挙もまた、戦いの一つである。関連の報道で使われる言葉には、馬にちなむものが多い。立候補することは出馬、有力候補に伍(ご)して出馬すれば対抗馬と目され、2人による争いは一騎打ちと呼ばれる

▼有望視されなかったダークホースが台風の目になり、注目されることもある。最近では他候補の当選を目的に出馬する「2馬力選挙」が物議を醸した。勝ち馬に乗る政治家が散見されるのも勝負の世界に身を置く習性なのか

▼きょう告示される知事選は三つどもえの構図が固まり、各陣営の臨戦態勢も整った。県の課題は山積し、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題も大きな争点になろう。本県のリーダーは誰か。街の下馬評も聞こえてくる

▼英語の「back the wrong horse」は直訳すれば「負け馬に賭ける」だが、見込み違いを意味する。今回の選挙を例えるなら、県政運営を担う「駿馬(しゅんめ)」を選ぶ戦いだろうか。ゆめゆめ判断を誤ることなく熟慮の一票を投じたい。