阿波木偶文化資料館「人形のムラ」で、収集した木偶などの説明をする辻本一英。国内外の研究者や教育関係者が頻繁に訪れる=2026年1月、徳島市
 阿波木偶文化資料館「人形のムラ」で、収集した木偶などの説明をする辻本一英。国内外の研究者や教育関係者が頻繁に訪れる=2026年1月、徳島市
 玄関で中内正子が操るえびすが住民の手に触れ、福を分けた。奥は鼓の南公代(右)と、2年連続で同行する高校生の加藤暖菜=2026年1月、徳島県三好市
 差別に苦しんだ若い頃に思いをはせる辻本一英=2024年1月、徳島市の阿波木偶文化資料館「人形のムラ」
 雪の中、木偶や衣装が入った箱を背負って門付け先へ向かう中内正子(右端)ら。左端はカメラで記録する辻本一英=2026年1月、徳島県三好市

 粉雪舞う正月2日、徳島県三好市の民家に南公代(60)の鼓が響いた。中内正子(58)が木偶(人形)の翁、えびすを巧みに操る。新年の五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全を祈る「三番叟まわし」。最後にえびすが住人の手にぽんぽんと触れ、福を分けた。

 江戸期から被差別部落の人々が担ってきた祝福芸。戦後、差別の中で一度は消えかけたが、「芸人の孫」の辻本一英(74)が奔走し危機を脱した。「また壊されてたまるか」と言葉に力を込める。

 元旦から3カ月かけ、千軒以上の門付け先を回り、玄関で披露する。厄をはらう千歳、翁、三番叟と、福を呼ぶえびすを1人で操るのが特徴で、愛媛や香川にも出向く。

 人形浄瑠璃の源流の一つとされ、明...

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