似た境遇自分を重ね
初めてストーリーを読んだとき「怜司は自分とどこか似ているな」と思った。僕は母子家庭で育ったので、仕事や家事を一人でこなす母親の気持ちは痛いほど分かります。怜司も父親(原田泰造さん)一人に育てられた。境遇が何となく似ているから、役作りはしやすかったですね。

怜司は優しさが空回りして言いたいことがうまく伝わらない。先走って行動してしまうところも、自分と似ているかな。
妹がいる役で、最初は彩菜(葵わかなさん)にどう接すればいいか、よく分からなかった。カメラの回っていない所でお互いの趣味の話をしながら、妹だと思おうと頑張った。
彩菜が女友達2人と結成したアイドルユニットのライブシーンがあるのですが、撮影日は本当に寒くて。鳥肌が立っていたけれど、つらい顔を見せずに頑張る姿に圧倒された。終盤は本当の妹のように思えたから、このシーンをスクリーンで見たら涙が出るかも。
この作品は、親を思う気持ちや家族の再生がうまく描かれています。バラバラな家族がそれぞれ悩みを抱えながら一歩ずつ前進し、一つになっていく姿は見どころです。若い人にもぜひ見てもらいたい。親の苦悩や子どもの気持ちに触れ、家族のありがたさを感じてもらえたらいいな。
撮影で新潟に来て、雪景色がきれいだし、何よりも空気が透き通っていて気持ちがよかった。寒がりだけれど、撮影中はアドレナリンが出ているせいか全然寒さを感じなかった。
初日はロケ地の三条市に積もった雪を見て「3月なのにこんなにある」と、とても驚いた。
新潟弁のせりふは難しくて苦労した。僕は奈良県出身で、上京してから3年ほどたつけれど、関西なまりが抜けない。方言指導の方に新潟弁を教わりましたが、いざ本番になると無意識に関西弁が出てしまって大変でしたね。どう仕上がっているか楽しみです。
新潟日報 2017/05/18