人と自然に助けられ
ロケで一番印象的だったのは、やっぱり三条市の「白鳥の郷公苑」。ハクチョウがあんなに集まっているのも、それが一斉に飛び立っていくのも見たのは初めて。天候が急変したり、あとワンカットというところでハクチョウがみんな飛んでいってしまったり大変だったけれど、次の撮影日には雪深い中にハクチョウが戻っていてくれました。
そこでとても大事なせりふを言って、(主人公役の原田泰造さんと)気持ちのやりとりをするシーンを撮った。すると、それまでワーッと鳴いていたハクチョウが急に静かになって、気持ちを作りやすくしてくれたこともあった。

志穂は東京から恋人のリイチ(主人公・高宮
リイチさんはとても不器用な男性で、すれ違ったり一歩踏み出せなかったりする人。でも同じくらい愛にあふれていて、志穂のことも家族のことも大事に思っている。もう10年一緒にいる設定なので、現場では原田さんとなるべく空き時間もおしゃべりしていた。しぐさや空気感から親密さが漂えばいいなと思う。
志穂は東京で母親から受け継いだ飲食店を経営している。ただ、作品中では私は料理を出す側なので、自分ではほとんど食べられない。そんな中で、新潟特産のやわ肌ねぎのローストを出すシーンがあり、それがとても甘いネギだと聞いて、休憩時間にお願いして分けてもらった。やわらかくて最高においしかった。
撮影ではいろいろなお宅をお借りした。大人数で長時間押しかけたのに、皆さん笹団子や甘酒までごちそうしてくださった。美しい景色と、出会った人に助けられてお芝居をさせていただき、感謝しています。
新潟日報 2017/05/13