元夫との距離感模索
美雪が元夫である主人公・高宮利一と16年ぶりに再会して、映画のストーリーは動きだす。残してきてしまった子ども2人との擦れ違いも描かれる。美雪にとっては、過去の自分のやりきれなかった部分を、大人になって見つめ直し、新しい一歩を踏み出すお話かな。

美雪は更年期障害のためにどこかマイナス思考で、ネガティブな方向に引っ張られやすい女性。自分の気持ちを言葉で表現するのが下手で、何でも一人で抱え込みがちな性格じゃないかな。利一との離婚も義理の母親にいじめられ、その苦しさを夫婦で分かち合えないまま、大好きな子どもたちを置いて出て行かざるを得なかった。本来、そのとき夫婦で話し合っていれば変わったかもしれないことも言葉にできなかった。
役作りではそんな元夫婦の距離感を模索した。美雪は再婚して名字が変わり、今の夫との間に8歳の子どもがいる。そんなときに再会した元夫との関係が、どう緩んでいくかを大事にしなきゃいけないなと。
利一役の原田泰造さんとも、あんまり近く接しすぎると、そのギクシャク感がなくなってしまう。最初は距離を置いて、美雪らしい、おとなしい印象の女性でいようかなと思った。
でも実は、以前共演したドラマで、私がアリに全身を食べられて白骨死体になる、すごいシーンがあったの。それを原田さんが目の前で見ていたことを思い出したら、何も隠せない気がして。途中からは普通に話すようになりましたよ。
長男・怜司役の七瀬公君とは、そんなに役の距離感を気にしなくてよかった。一緒に食事に行って、たれカツ丼を食べた。30分並んだかいがあって、すごくおいしくて驚いた。新潟は雪とお酒とお米のイメージ。ウインタースポーツをしに越後湯沢にはよく来るけれど、今回はまた違う顔が見られてよかった。人の穏やかな新潟が大好きになりました。
新潟日報 2017/05/12