「最近の若い者は-」という言葉は大昔からあった。古代エジプトの記録に残っていたとか、ギリシャのプラトンも言っていたとか。古今東西、若者は年長者に批判される

▼今の20代半ばまでの若者はZ世代と呼ばれる。物心ついたころから周囲にパソコンや携帯、スマホがあった。交流サイト(SNS)を自在に使いこなすなど、デジタル社会を生きる術を自然に身に付けているといわれる

▼「今どきの若手社員のトリセツ」の著書がある平賀充記(あつのり)さんによると、Z世代の口癖に「それって意味あります?」があるそうだ。時間を無駄にすることや回り道をすることを嫌うという

▼「褒め方が難しい」という特徴もある。周囲の目を気にするので、人前で褒められるのを嫌がるとのこと。「すぐに折れる」もある。教育改革で厳しい指導が減り理不尽な思いをした経験も少ないためらしい

▼もちろん世代論は全体の傾向や印象で、全員に当てはまるわけではない。わが職場に数人いるZ世代はまじめで素直、人柄が優しい。バブル世代である筆者の若いころよりしっかりしている。同世代の平賀さんが講演で来県した際、話をすると同意してくれた

▼先日のぞいた中学生の主張大会では「多様性を認めたい」との訴えが多かった。自分とは違う他者を認め、尊重する優しさがあるようだ。もしかしたらZ世代はいずれ、包容力のある優しい社会をつくるのかも。そうなればきっと戦争は起きない。新時代を開くのはいつも「最近の若い者」だ。

朗読日報抄とは?