政治の力への期待を込めて、新潟県内各地域の実情や住民の思いを伝える衆院選連載「知ってほしい」。今回のテーマは「SDGs」です。
新潟市西区の新潟国際情報大では毎週木曜、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を、学生の視点で考える団体「レインボーワールドプロジェクト」のメンバーが集まる。今月中旬の会合では、これから参加するイベントでSDGsについて知ってもらうため、「フェアトレードのチョコレートを出したい」などとPR方法を話し合った。
メンバーは同大の2~4年生男女10人。代表の国際学部3年、岩野ひかるさん(21)は途上国の格差や差別について問題意識を持ち、昨秋から参加した。
SDGsとは環境や貧困、ジェンダー(社会的、文化的な性差)といった世界的な課題を解決し豊かな未来につなげるための、17の国際目標を指す。2020年のレジ袋有料化などで、環境問題などSDGsへの注目度が高まった。
「でも広くは浸透していない」と岩野さん。若い人は将来を考え、SDGsに関心のある人が多いと感じるが、自分たちよりも上の世代はそうでもないのが、もどかしい。
海水浴場の清掃を通じて住民と親しくなった地域で、地元のイベントに企画段階から参加したときのこと。学生ブースとしてかき氷店を出店。プラスチック容器を避けて紙の容器やスプーンを準備し、「環境に配慮した」として販売した。
しかし、反応は芳しくなかった。環境保護のために紙の容器にしたという説明文を掲げたが、「ふーん」と言われただけだった。「多くの人に少しでも環境問題について考えてほしかったのに…」。SDGsを身近に感じてもらう難しさを痛感した。
団体を指導する山田裕史准教授(43)は「今の大学生は、生まれた時から人口減少や環境破壊などの問題に直面している。自分のこととしての危機感が上の世代と決定的に違う」と強調。「選挙の時も、SDGsについてどれだけ本気で取り組んでいるかをみている」と指摘する。
副代表の津村和楓さん(20)も今の政治に違和感を抱く一人。SDGsで「ジェンダー平等の実現」も掲げられているのに、日本の政治家には女性が少ないとして、「女性が活躍できる環境になるといい」と願う。
衆院選では、主に経済対策や新型コロナウイルスについての論争が行われている。代表の岩野さんには、SDGsについての議論が少ないように映る。「若者だけが意識を変えても難しい。もっと政治家が発信してほしい」
(報道部・宮沢麻子)
◎若者の努力だけでは
岩野ひかるさんの話 「SDGs」そのものが多くの人に知られていない。海のごみの問題など、国と国が協力して解決しなければいけない問題もある。私たち若者世代だけが頑張っただけでは解決しない。政治家や大人はSDGsのことに関心を持ち、もっと意識を変えてほしい。